我々が目指す活動分析

 活動分析研究会では人が生きて行うあらゆる目的活動(機能的活動=Activity)を通して対象者の能動的な参加を促し、結果を出すことを目指します。つまりは、リハビリテーションの最も基本的な「理想」であると思います。

  しかし、伝統的なADLに対するアプローチでは、「ADLの障害は能力障害」と捉え、反復練習の名の元に、不足要素の補完や阻害要素の排除(機能訓練)と、克服できない部分においては即戦力になる指導を行い目的課題を達成することに力が注がれています。我々は活動分析を通して「治療で再獲得された機能を、実際場面で活かす」というような古典的な考えから脱却し、課題遂行におけるあらゆる反応を神経系の協調関係として捉え直していく作業を続けていきたいと思います。

 活分のはじまりはボバースアプローチへのあこがれであり、自分もいつかはそうありたいと願いつつ、しかし、それがそのままOTを発展させることに直結するわけではなく、自分たちの姿は自分たち自身で努力しなければ得られないという柏木氏の哲学を学び続けたいと思います。


活分の功績の一部 〜皮膚反応〜

写真では上肢挙上に伴って、背面全体のマークが変化することが観察できます。つまり、このような皮膚の変化が深部の受容器であるルフィニ終末や表在の毛包受容器、触覚盤などを刺激してその情報が身体の姿勢制御に役立てられていると解釈しています。洗体・更衣動作ではこの様な皮膚反応を活動時に必須の感覚情報(活動のコア)として治療技術を提案しています。(第10回活分特別講演抄録 環境適応より)

 

課題が運動行動を導く

写真は封筒に便箋を入れる課題です。封筒と紙を持ったら、持った紙を少しだけ歪ませて、操作する力を全体にいきわたらせる構造を作ります。紙の先で封筒の中を探索しながら突っ掛かりを探し、通る方向を誘導していきます。このように課題が運動行動を導く特性を活かして望ましい身体機能を引き出すということが活分が模索している内容です。(第20回活分特別講演抄録 環境適応Ⅲより)